フランスで生まれた作業着、ブージュロン(BOURGERON)。
19世紀、農夫や鉄道作業員、職人たちが、毎日袖を通していた服。
リネンやコットンで仕立てられた、前立ても控えめな、シンプルを極めた上着。
それは道具であり、制服であり、生活そのものだった。
派手な装飾も、自己主張もない。
ただ動きやすく、洗いやすく、引っかからないように設計された、目的のためだけの服。
でも、だからこそ惹かれる。
"何も語らない服"が、むしろいちばん雄弁に、生きる姿勢を語ってくるから。
ブージュロンでタイドアップしたスタイルを包んでみた。
格式や知性の象徴であるネクタイを、労働の服でそっと覆う。
まるで、労働の誇りが知性を抱きしめているような感覚。
逆転じゃない。
矛盾でもない。
この二つの世界は、ずっと隣り合っていたのかもしれない。
ワークとドレス、土と都会。
"装うこと"と"働くこと"が、静かに並んで立つスタイル。
なんでもない服が、語りすぎない服が、
いちばん深く、着る人の意思を浮かび上がらせてくれる。
JACKET:BOURGERON by ANATOMICA(L)
TOPS:BIG A CHAMBRAY by ANATOMICA(16)
BOTTOMS:618 ORIGINAL by ANATOMICA(36)
SHOES:WAKOUWA LOW(10)