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▪️SCARF : MOSAIC ANIMALS SCARF by ANATOMICA
▪️TOPS :BRITISH FISHERMAN SMOCK by Arch Sapporo(L)
▪️BOTTOMS:618 ORIGINAL by ANATOMICA(36)
▪️SHOES:WAKOUWA LOW by ANATOMICA(10)
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80年代末から90年代初頭のマンチェスター。
工業都市の灰色の空気と、レイヴやアシッドハウスの熱狂がぶつかり合うその場所で、The Stone RosesやHappy Mondaysは、新しいUKロックの顔となった。
彼らのファッションは、サッカーカルチャーとストリートの延長にあり、動きやすく、飾らず、そしてどこか反骨的だった。
その象徴のひとつがスモックだ。
スモックといっても、そこには二つの流れが重なっている。
ひとつはナイロンのアノラックやプルオーバージャケット。
雨の多いマンチェスターで日常的に着られ、クラブへもそのまま飛び込める服。
もうひとつは、古着屋で見つかるフィッシャーマン・スモックや軍用のプルオーバー。
労働着やアウトドアの匂いを残しながら、ステージに立ったときには逆に“余計な装飾を拒む意思”として輝いた。
Thn Stone Rosesのイアン・ブラウンがまとうアノラック、リアム・ギャラガーが愛したフィッシャーマンスモック風のプルオーバー。
それは単なる服ではなく、マッドチェスターというムーブメントの"中庸"を表す衣服だった。
派手なブランド志向でもなく、完全な作業着でもない。
街と音楽とサッカーと労働者階級、すべての境界をまたいで着られる服。
それがスモックだった。
だからこそ90年代のUKを象徴する写真の中に、あのプルオーバーのシルエットが何度も現れる。
そこには"どこにでもある服"で"どこにも属さない自由"を求めた若者たちの精神が、確かに映り込んでいるのだ。