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▪️TOPS 1:1PLY ALPACA CARDIGUN by FANNI LEMMERMAYER × ANATOMICA(42)
▪️TOPS 2 : BIG A CHAMBRAY by ANATOMICA(16)
▪️BOTTOMS:CHINO Ⅱ by ANATOMICA(34)
▪️SHOES:PUNCHED CAP TOE KID LEATHER by ALDEN(10D)
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1PLYのアルパカカーディガンはジャストサイズ(42)で。
ジャケットのインナーにしても、シャツやカットソーのアウターにしても、どちらにも使えるサイズを選んでおけば、一生物の一枚になるはずだ。
さて、アンデスの高地に暮らす人々にとって、アルパカの毛はただの素材ではなかった。
冷たい山の風を防ぐための防寒具であり、同時に神聖さを帯びた繊維だったのである。
インカの時代、アルパカは神々の衣と呼ばれ、王や貴族だけが身にまとうことを許されていたという。
柔らかく、軽く、そして保温性に優れたその毛は、アンデスの過酷な気候において命を守る繊維だった。
やがて16世紀、スペイン人がアンデスに足を踏み入れる。征服と共に多くの文化が失われていったが、アルパカ繊維だけは細々と受け継がれた。
長らくアンデスの地に留まっていたこの素材が世界に広まるのは、19世紀の産業革命時代、イギリスの繊維業者がその可能性を見抜いたときだ。
マンチェスターの工場で織り上げられたアルパカ生地は、ヨーロッパの上流階級のコートやドレスを飾る新しい高級素材となった。
しかし、アルパカが本当にセーターとして姿を現すのは20世紀に入ってからだ。
1920年代から30年代、都会的な装いの中に軽やかなアルパカニットが登場する。
伝統の織物が編まれることで、山岳民族の防寒着は都市生活者のファッションへと姿を変えたのである。
今日、私たちが手にするアルパカのセーターは、その長い旅の果てにある。
古代アンデスの祭祀、ヨーロッパの工業都市、そして現代のファッションシーン――そのすべてを経由して、軽くて温かな一着が手元に届く。
アルパカのセーターを羽織るとき、そこには遥かなる歴史と文化の重なりが、そっと織り込まれているのだ。