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▪️JACKET:SAVOYARDE by ANATOMICA(XL)
▪️TOPS :MOCK NECK TEE S/S by ANATOMICA(L)
▪️BOTTOMS:618 ORIGINAL by ANATOMICA(36)
▪️SHOES:PUNCHED CAP TOE KID LEATHER by ALDEN(10D)
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ワークウェアにはポケットがたくさんある。
けれどワークウェアが生まれるよりずっと前に、ポケットそのものはすでに存在していた。
中世の人々は、腰に吊るした小袋に貨幣や小物をしまっていたが、盗難の危険から服の内側に隠し袋を仕込む工夫を覚えた。
これがポケットの始まりである。
やがて16〜17世紀のヨーロッパで、男性服にポケットは縫い込まれるようになり、18世紀には懐中時計や切符、コインを収めるための専用ポケットが次々と生まれた。
ポケットは、生活を便利にし、職能を表す小さな器官として服に定着していったのだ。
19世紀、産業革命のただなかに登場したワークウェアは、そんなポケットの歴史を背景にしている。
農夫や大工、鉄道員の仕事着には、工具や帳簿をしまうための大きなフラップポケットや複数の胸ポケットが備えられた。
そこには防犯よりも効率、つまり"働くための実用"が強く求められていた。
ワークウェアの多ポケットは偶然ではなく、ポケットという仕組みがすでに服に組み込まれ、人々の生活を支えていたからこそ生まれた必然だった。
ANATOMICAのSAVOYARDEにも、ポケットがたくさんある。
特徴的なのは身頃の前面ではなく側面にあるポケット。
サヴォア地方の商人たちが、商品を抱えて売り歩いていたなら、ポケットは横に付いているほうが実用的だったはず。
そんなロマンとともに、このポケットは縫い付けられているのだ。